こんにちは。
カラープライマリー久保田みきです。
日本の伝統色シリーズとして
毎月、日本に古くからある色のお話をお届けしています。
お誕生月の方、おめでとうございます。
お誕生月ではないけれども、
訪問してくださった方も、ありがとうございます。
今月もおつきあいください。
9月の色
まだまだ暑い日が続きますが
日中の暑さも和らぎはじめ、
だんだんと秋の気配が深まっていきます。
気がつけば昼のセミの声は鳴りやみ
夕方にはどこからか秋の虫の音が聞こえてきました。
9月は「苅安」のご紹介です。
”かりやす”とはイネ科の植物。
お月見にお団子とお備えする、あのススキと仲間です。
古代よりススキの類は黄色染に用いられ
特に苅安は堅牢度(=色の落ちにくさ)が高いことと
赤の要素をもたないため
藍色と併用して鮮やかな緑を作ることができました。
”かりやす”の名前は
刈りやすく入手がしやすいの意味。
多くは自生で山地には群生しており
栽培しやすく、染めやすいと
農民の間で広まりました。
奈良時代の「正倉院文書」にもその名は登場し
化学染料に代わった今でも
伊豆諸島八丈苅安は
「八丈の苅安で染めた黄八丈」といって
人気があります。
その気安さのとおり
黄色には親しみやすさ、
明るさ、楽しさのイメージがあります。
色としては一番明るいため
パッと目立つ視覚的認識の早い色です。
セール品のPOPにおススメです。
また、夜空の星のように頭上に輝くものを象徴として
目的に向かって進む、
向上心ある、知識欲が湧いているときにも気になる色です。
人に何かを教える人
しっかり者の長子も
好きな色であることが多いです。
甘え下手な人が多いので
人の視線が自分に集まらないと
さみしくなってしまうことも。
そんなときは、キラキラ光る黄色いものが
神経をリラックスさせてくれます。
親しみやすさ
目的に向かって進む
人の視線を集める
参考文献
「色の手帖」
「東京八丈島黄八丈織物協同組合ホームページ」
おまけの色の話
苅安の黄色色素はフラボノです。
紫外線から細胞を守る働きがあり
染料の他、消化を助ける医薬品としても使われていました。
昔の人は呪術と医術が近いところにあり
難しいことがわからない時代であっても
植物が生成する要素を
〇〇なときには、〇色のものを食べると良い、と
その色がもつ効能として伝えてきた歴史があります。