10月「弁柄(べんがら)」

こんにちは。
カラープライマリー久保田みきです。

日本の伝統色シリーズとして
毎月、日本に古くからある色のお話をお届けしています。

お誕生月の方、おめでとうございます。
お誕生月ではないけれども、
訪問してくださった方も、ありがとうございます。
この色が気になったときに読んでもらえると嬉しいです。
今月もおつきあいください。

10月の色
秋になりました。
景色も美しく、食べ物もおいしい
大好きな季節です。
この季節は自然界の彩りに
茶色のバリエーションが溢れる時期でもあります。
茶色は、毎年秋冬の流行色にも欠かせない色です。

10月は暗い赤みを帯びた茶色、弁柄色をご紹介します。

「ベンガラ」とは、酸化した鉄分を含む土を主成分とする顔料で
紅柄、紅殻と書かれることもあります。

有田焼の柿右衛門の作品に
印象的な赤として使われているのも
この弁柄です。

塗料・染料だけでなく、
赤こんにゃくの着色料としても使われています。
※赤こんにゃくは滋賀県近江八幡市の名物
織田信長が赤く染めさせたと言われています

もともとはインドのベンガル地方から伝来し、
岡山県が産地として有名だそうで、
防虫防腐や、魔除けとして
壁に塗られていたという弁柄。
倉敷でも赤い壁を見ましたが、
北欧でよく見られる赤い壁も弁柄で
土壁だけでなく、木の耐久性、強度も上げるようです。

イタリアのシェンナ地方では
その土地でとれる黄土で作ったレンガで
統一した美しい街並みを作っています。
レンガの色は「バーントシェンナ」(焦げたシェンナの土)
という色名になっています。

自然のものが枯れて土へ還っていく色=茶色
その大地がもつ色は
人が生まれ育った場所の色。
包み込むような安心感や拠り所を感じさせる色かもしれません。

スイスの色彩心理学者ルッシャー博士の
カラー心理テストでは
茶色は「保守性」と位置づけられており
血や土地とのしがらみが影響することが多く
選んだ順番によってその意味は異なりますが
カラーテストのときには
家族や地域について尋ねます。

茶色の幅は広く
赤やオレンジの色味を感じる茶色から
深く暗い茶色まで。
暗く深くなるほど
力(養分)を蓄えて、ずっしりとした信頼感、安定感も
感じさせる色です。

キーワード
包み込むような安心感
自分のルーツの確認
信頼 安定

参考文献
「色の手帖」
「ルッシャー博士のカラー心理テスト」
「心を癒す魔法の色彩力」

参考サイト
農林水産省「うちの郷土料理」
全農「みのりみのるプロジェクト」