7月「濃藍(こいあい)」

こんにちは。
カラープライマリー久保田みきです。

日本の伝統色シリーズとして
毎月、日本に古くからある色のお話をお届けしています。

誕生月の皆さん、おめでとうございます。
この色好きだなぁ。と、この投稿を読み進めてくださる方も大歓迎です。
気になる色は、今必要なメッセージになっていることもあります。
他の色はこちらからどうぞ

7月の色
夏の印象の強い7月ですが
実は月の中旬以降まで、まだ梅雨の最中です。
私の娘が7月生まれなのですが
出産の入院時はまだ梅雨で、
退院時には梅雨明けだったのをよく覚えています。

7月は「濃藍」のご紹介です。
「青は藍より出でて藍より青し」あおはあいよりいでてあいよりあおし
(出典:「荀子(じゅんし)」)
の、「藍」です。

日本人の好きな色
日本人を象徴する色
海外から「ジャパン・ブルー」と呼ばれる色です。

薄藍、瓶覗(かめのぞき)、浅葱(あさぎ)、縹(はなだ)、藍、濃藍などなど
何度も重ね染め、色が深く濃くなる段階に
たくさんの名前をもつ藍染めの色。

江戸時代に、色の制限をされた庶民にもそのバリエーションは愛されました。
江戸時代の「四十八茶百鼠(しじゅうはっちゃひゃくねず)」の話

特に、黒に近い濃い藍色は
褐色・搗色(かちいろ)と呼び「勝つ」と同音であることから
縁起を担ぎ、武具や祝賀のときにも使われました。

いろいろな色にその姿を変えるのには
藍の染め方にも特徴があります。
草木染のそのほとんどが煮だして染めるのに対し
藍染めは染液を発酵させて
染成分である「インディゴ」を水に溶けださせるという過程が必要です。
液から出すと薄い緑に染まっているのですが
空気に触れるとその色を一気に青に変化させます。
水と空気の酸化を行き来することで色は深みを増していくのです。

合成染料が海外から入ってくるまで
染色の基軸となる色で
黄色と合わせて緑を作り
赤と合わせて紫を作りました。

藍が周りに合わせて姿を変える器用さをもつ一方で
深い海の底のような、宇宙の果てのような
何度も重ねられた濃い藍色は
自分自身に向かい合い、ぐっと深く内省するイメージをもちます。

暗く閉ざされた中で
集中し、自分の感覚だけを信じる。
この野性的な勘のほうが
ネットに溢れる情報よりも自分自身を
正しく導いてくれそうな気がします。

キーワード
直観 感性の鋭さ
集中 内省 自分を見つける旅

参考文献
「色の手帖」
「繊維学会ファイバ8月号/阿波藍連載」

 

おまけの色の話

「瞑想」がビジネスマンの間にもひそやかなブームですが
頭の中に色のカーテンがかかっているのを思い描きながら
その色の世界に入り込んでいく手法を
「カラーカーテン」といいます。
色の効果を取り入れるための手法です。
色のついた”空気”をイメージするのは
「カラーブリージング」といい
「ピンクの空気」を吸って若返りをはかるという手法を紹介した
『美しくなるカラーブリージング』は
アメリカで90年代にベストセラーになりました。